2023年10月29日

 

東浩紀の『訂正可能性の哲学 ゲンロン叢書』再読。

あらゆるものごとの規則や意味は存在せず、現在の行為や共同体を支えている規則や意味は未来の価値観等から照らして論理的に遡行的に書き換え可能である。未来から到来する複数の抹消された痕跡が起源を構成する。訂正とは脱構築である。

2023年10月28日

 

磯崎憲一郎の『電車道 (新潮文庫)』、読了。

明治から大正、昭和そして平成に至るまでの百年を鉄道敷設と宅地開発を軸に描いている。家族を残して出奔して洞窟に住み始めた元薬屋の男と突然選挙に立候補したものの落選してしまい伊豆の温泉地に身を隠す元銀行員の男が、関東大震災、戦争、経済復興から高度経済成長に翻弄されながら生きていく。

洞窟の入り口に置かれた笹の葉で編まれた笊に包まれていたものが「男はみたことのないものだったが、米と小豆を蒸して作った菓子のようだった」と冒頭箇所では書かれている。百年にわたる群像劇が展開し終わった最終行でその菓子のようなものが「白い饅頭が二つ」であることが判明する。百年の物語という洞窟を抜けると菓子のようなものが白い饅頭二つになるということか。

 2023年10月26日

昨夜『ゲンロン15』が届いた。さっそく東浩紀の巻頭の論考を読む。

経験的-超越論的二重体から客的-裏方的二重体へ。テーマパーク化した世界で、裏方の自然科学者や社会科学者たちが解明した現実と大衆が抱く幻想を橋渡しをする「顧客担当」としての哲学者。客と裏方はつねに入れ替わり、超越論性を深く探求していた人文知は大きな変容を迫られる。

他にも論点はたくさんあるが、ともかく物事を考えるうえで新たな視点を与えてくれる論考だ。

 

 

 

2023年10月25日

朝起きてヒーターをつける季節になった。夜遅くまで起きてだらだらと過ごすよりも早寝早起きして早朝からだらだら過ごすのが心地よい。

中央線の下り、中野を過ぎると高架になってて車窓から開放的な風景が流れていくのをみるにつけいいようのない多幸感に満たされる。